Elza's Creative note

ARTICLE PAGE

基本のテクスチャメイキング・金属編

この記事は、私のMODで評判が良かった小物を例に、私なりのテクスチャ作成工程を公開してみようという記事です。
特別な作り方をしているわけではありませんが、基本に忠実ですので、これからテクスチャ作りに挑戦される方、あるいは他の人がどんな手順でテクスチャを作っているのか気になる方など、何かしらの参考になれば幸いです。



  • 製作環境:
    • Photoshop CS4、CC
    • Illustrator CC
    • Blender ver2.94、2.76
    • Nifskope ver1.1.3、2.0 dev5

※この記事はあくまで「テクスチャ作成工程の一例」や「作成にあたっての考え方」を共有する意図で作成しました。
 この記事の内容を参考に新しいMODを作っていただくのは大変光栄ですが、作例の素材の流用・デザインの模倣はお止めください



金属:片手剣(El Follower Severini)


Nexusで公開しているフォロワーMOD「El Follower Severini」から、フォロワー用に作成した片手剣「Sword of Evergreen」の刀身を例にして説明していきます。エルフの青年の持ち物ということで、シンプルながらも繊細な装飾が入った品のある剣といったイメージで作りました。

metal1808271b.png


テクスチャ構成は、全てのパーツを1枚にまとめてディフューズマップとノーマルマップが2048サイズ、環境マップマスクが512サイズです。

metal1808273.png


金属を作るにあたっては光沢の解釈が重要になります。
後述のシェーダー設定や金属用の環境マップを設定することで簡単にスカイリムに合った光沢表現を得られますが、ディフューズマップの描画から工夫したいなら明暗のコントラストを意識してください。
難しく考える必要はなく、「強く光る部分の隣には同じ強さの影がある」と覚えておくとよいでしょう。

metal1808272c.png



素材を用意する

テクスチャ用に用意した素材はこちらの写真です。
フリー素材サイトからダウンロードしたメタル素材の写真ですが、ヘアラインと汚れの違いで2パターン使います。

metal1808274b.png


傷や汚れの表現のためにPhotoshop用ブラシを用意しました。こちらもフリー素材サイトからダウンロードしたもので、同じく2パターン使います。

metal1808275.png


そして、メッシュの形状をAOベイクして画像化したものも忘れず用意します。
この画像はディフューズマップと同じサイズ(例の場合なら2048サイズ)で作成しておきます。

metal1808276.png


今回は事前に加工する素材はないので、ディフューズマップの制作過程でレタッチしていきます。



ディフューズマップを作る

今回はAOベイクで作成した画像をテンプレートにします。ディフューズマップと同じサイズにしておくのは、このためです。
AOベイクの画像を開いたら背景をレイヤー化し、レイヤーモードを乗算(不透明度100%)に切り替えます。するとベイクされた部分だけ透過された状態になるので、透明になった部分に素材を貼り付けていくイメージで進めます。


暗い色の素材から貼っていきます。まずは、一番暗いのが柄や鞘のベースとなる黒のレザー素材。

metal1808277.png


次に、広い面積で使うメタル素材を貼ります。ここで使う素材には錆や汚れなどの質感がついているので、主に使用感を出したい部分に使います。

metal1808278b.png


最後に、その他のパーツに使うメタル素材を貼ります。ここで使う素材はヘアラインが均一になっているので、刀身や平らな部分に使います。

metal1808279b.png


ここまでの状態でメッシュに適応させてみるとどうなるか確認してみます。
なんだかのっぺりしていますね。

metal18082710.png



ここからレタッチして質感を上げていきます。
まず、明暗を加えます。乗算レイヤーやソフトライレイヤーでハイライトやシャドウを描き入れたり、調整レイヤーの明るさ・コントラストやトーンカーブなどを使って調整します。
刀身については、ヘアラインのムラに不満があったので均一になるようにコピースタンプツールを使って整えました。

metal18082711.png


続いて、使用感を表現するために傷や汚れを加えます。
素材で用意したブラシを使います。新しいキャンバスを作り、新規レイヤーに傷や汚れのブラシで何回か描画したら、使えそうな部分だけを切り取って貼り付けるとよいでしょう。

metal18082712.png


ブラシを2種類用意したのは、刀身は剣撃を受け止めたイメージで斬ったような細い傷を表現したいので、その他の部分とは別に作りたかったためです。

metal18082713.png


また、傷を入れるときには立体感をつけるためにレイヤー効果のドロップシャドウを活用します。
傷は凹凸の表現なので、ただ描画を乗せただけの状態よりもそれらしく見せられます。

metal18082714.png


ここまででメッシュに適応した状態を見てみます。
立体感が出てきましたね。

moddb160825.png



この剣の特徴である装飾を作ります。
ペンツールでシェイプレイヤーを選択したら、①パスで装飾のアウトラインを描き、②レイヤー効果でベベルとエンボス、ドロップシャドウを当てます。③これを繰り返してパーツを全て作ったら、④パーツどうしが重なった部分をレイヤーマスクで消し、⑤仕上げにソフトライトレイヤーでハイライトを描き加えて調整レイヤーでコントラストを整えたら完成です。

metal18082715.png


他の部分にも繰り返して装飾が全て入りました。

metal18082716.png


ここまでくればもう一息。
仕上げに全体的に調整レイヤーで明暗やコントラストを整えれば完成です。

metal18082717b.png


メッシュを確認するとこんな感じになりました。
いい感じですね。

metal18082718b.png



ノーマルマップを作る

次にノーマルマップを作成します。
ディフューズマップからフィルタをかけて作成しますが、今回はディフューズマップを加工してノーマルマップ用の画像を用意し、それにフィルタをかけて作成ます。

というのも、ディフューズマップの装飾部分にはレイヤー効果を使った光沢の表現が描画された状態なっているので、このままノーマルマップを生成すると光沢の表現までもが凹凸として生成されてしまうのです。デザイン上は滑らかな山型のエンボスに見えるようにしたいので、これは意図ではありません。

metal18082719b.png


そこで、ディフューズマップで装飾用に作成したシェイプレイヤーを利用して、スムースな山型に見えるようにベベルとエンボスの設定を編集します。
また、装飾以外の金属部分も滑らかな表面にしたいので、ディフューズマップで描き入れた傷や汚れ、最初に貼り付けたメタル素材なども非表示にしました。

metal18082720b.png


この状態でフィルタをかけてノーマルマップを作成します。

metal18082721.png


無事、滑らかになりました。

metal18082725b.png


さて、ベースはこれでいいのですが、UV展開の都合上、刀身は横向きなのに鍔は縦向きだったりとパーツごとの向きを統一することができなかったので、向きが合っていないパーツは別画像で作ったノーマルマップを合成します。
NVIDIA Normal Map Filterの設定で方向を指定して作成。できたノーマルマップを切り取って重ねれば完成です。

metal18082722b.png




スペキュラマップを作る

続いて、スペキュラマップを作ります。
アルファマップなので、白=明、黒=暗となり、グレースケールで描画する。これは変わりません。

今回はディフューズマップに十分質感を加えてあるので、元の画像の質感を活かして調整レイヤーの明るさ・コントラストで明暗を整えるだけにとどめました。装飾部分に光が当たったときにキラキラ反射するといいなと思ったので、鍔の装飾部分は若干白を強くしています。

metal18082724.png


金属の場合、スペキュラマップでの光沢感の表現以外にも、Nifskopeでのシェーダー設定を調整することで、より幅広く光沢感を調整することができます。
具体的にはNiTriShapeのBSLightingShaderPropertyにある「Glossiness」と「Specular Strength」の値を調整します。

これらの役割と影響については、詳しくまとめられてる記事がありますので、こちらをご一読ください。

【Skyrim】グロス値の変更とスペキュラの設定による見え方の違い - Skyrim箱庭DIY
「Glossiness」と「Specular Strength」の概要と影響範囲についての解説


スペキュラマップは、このシェーダー設定で決めた光沢の度合いを反映させる範囲や濃度を決めるためのものと考えてよいでしょう。金属の場合は光沢感が質感を決める大きな要素になるので、ゲーム内で確認しながら納得いくまで調整していきます。



環境マップマスクを作る

最後に、環境マップマスクを作ります。
これはアルファマップではありませんが、スペキュラマップと同じように白=明、黒=暗、グレースケールで描画します。

環境マップとは、いわゆるキューブマップのことで、専用の6面の画像をカメラの角度に応じて切り替えて表示することで写り込みを表現します。スカイリムには主に金属や鉱物に対応する環境マップが用意されています。
環境マップマスクは、環境マップの表示濃度を決めるもので、白ければ環境マップは濃く=強く写り込み、黒ければ環境マップは薄く=写り込みません。

剣に使用したのは、こちらのバニラの鋼鉄の剣や鋼の鉱石に使われている環境マップで、落ち着いた光沢がぴったりだと思いました。

metal18082726.png


環境マップマスクはスペキュラマップと同じくディフューズマップから加工します。
こちらも十分に質感を作ったディフューズマップの描画を活かしたいので、調整レイヤーの明るさ・コントラストで明暗を整えるだけにとどめています。
強いて言えば、柄のレザー素材に写り込みが入ると不自然なので、黒く塗りつぶしています。

metal18082727.png



これでテクスチャのセットが揃いました。ゲーム内で確認して問題なければ完成です。

metal18082730.jpg

metal18082728.jpg
関連記事
Category: Skyrim関連
Published on: Sun,  28 2016 08:51
  • Comment: 6
  • Trackback: 0

6 Comments

kuromimi  

No title

お疲れ様です、各マップの基本的な作り方が順を追って説明されていて、とても参考になります、ありがとうございます!

やはり、カラーマップといえど、影とハイライトが重要ですねー*゚д゚*見違えます
ドロップシャドウのさりげない使い方など、勉強になりました!

あと、ノーマルの向きについて言及している所が他であんまり見あたらなかったので(見つからないだけでしょうか;)ありがたいです。

私は未だによく分かってないですw(ΘωΘ)

2016/08/28 (Sun) 10:47 | REPLY |   

-  

No title

Fallout4にも応用出来て物凄く参考になりました!ありがとうございます

2016/08/28 (Sun) 16:21 | REPLY |   

Elza  

>kuromimiさん

読んでいただいてありがとうございます!
あくまで私の作り方なので、他にも綺麗で効率的な作り方はあると思いますが、参考にしていただけたのでしたら幸いです。

そうですねー、カラーマップだからといってメッシュの形状に合っているとは限らないので、ちゃんと形状に合うように明暗をつけたり質感を高める必要はあると思いますね。
綺麗に撮影されたテクスチャ写真を素材に使う場合、貼っただけで満足したくなるのですがw、一手間加えてあげるのが大事かなと思っています。

ノーマルマップの向きは、絵を描くときなどと同じ考え方で、ひとつのモデルを作るのに違った方向から光が当たっていたら不自然だと思うので、方向が統一されるようにしています。

私もゲーム内で確認してみて違和感を見付けてから帳尻合わせている感じですよw

2016/08/29 (Mon) 02:11 | REPLY |   

Elza  

>名無し様

読んでいただいてありがとうございます。
○○マップとは区切っていますが、Fallout4のみならず他のゲームでも応用がきくと思います。
お役立ていただければ幸いです~!

2016/08/29 (Mon) 02:14 | REPLY |   

くつみや  

No title

はじめまして。

既製品に多少手を入れる程度(それもフィーリングで)の僕にとっては、目から鱗の記事でした。
非常に丁寧で解りやすいワークフローで、とても勉強になり感謝です。
ありがとうございました!

リンクフリーとのことですので、僕のブログにリンクを貼らせて頂きました。

2016/09/07 (Wed) 07:54 | REPLY |   

Elza  

>くつみやさん

はじめまして!コメントありがとうございます。
こちらこそ、MOD制作の疑問を検索すれば高確率で箱庭DIYさまに辿りつきまして、解りやすい解説記事にいつも(勝手に)お世話になっております。

メイキングを読んでいただけたようで嬉しいです。
詳しい方からすると時代遅れだったり効率悪かったりするとは思うのですが、考え方だけでも伝えられたらなあと記事にしました。何か参考になったのでしたら幸いです!

リンクありがとうございます!こちらからもリンクを貼らせていただきました!
これからも通わせていただきますね(*'-')

2016/09/07 (Wed) 20:29 | REPLY |   

Post a comment